青春時代の終わり~シン・エヴァンゲリオン劇場版~

もう2週間以上経ってしまいましたが、今回は『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の感想を書いてみようと思います。

先日 Twitter のエヴァンゲリオン公式アカウントから “今後は感想の投稿お願いします” というツイートがありました。
これはおそらく、大勢の人がネタバレに配慮した結果 Twitter 等に映画の内容どころか感想すらほとんど浮上してこないという特殊な事情があったからです。
特別何か号令のようなものがあった訳ではないはずですが、数週間にも渡って未見の方への配慮が徹底されていたというのは凄いことですね。

…とはいえ、逆に言えばこれは巷での宣伝効果が著しく限定されている状況ということでもありますし、そういう意味では、今後はむしろ積極的に感想等を発信していくことの方がより作品のためになるのでしょう。
そんなことで、遅ればせながら微力にすら至らないことを承知で感想を書いておこうと思った次第です。

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『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を観終わった直後は、正直なところ面白かったのか面白くなかったのかすらよくわからない状態でした。
というかそれ以上に、ずっとあり続けるものだと何の根拠もなく思っていたエヴァンゲリオンが本当に終わってしまったという実感が湧いてくるとともに途方もない淋しさを感じていました。

面白かったのかよくわからなかったというのは、何と言いますか、僕が勝手にエヴァというものに期待していた 訳のわからなさ とか ビターエンド みたいなものがなかったために、これまた勝手に肩透かしを食らったような感覚に陥っていたからだと思います。
特に、登場人物たちがほぼ全てと言っていいほど漏れなく救済されているという点は、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』がこれまでのエヴァンゲリオンシリーズと決定的に違っていたところだと思います。

カヲルやシンジ自身が言っていたように、シンジは、サードインパクト(あるいはそれに準ずるもの)によって時間や世界を幾度も巻き戻していたようですが、それが今作ではアディショナルインパクト以前に既にシンジは立ち直っており、ミサトの命を懸けた願いを受け止められるほどに成長してオトナになっていたことで、時間や世界を戻すのではなくエヴァンゲリオンがいなくてもいい世界に作り変える(ネオンジェネシス)という選択をすることができました。

この果てしないない繰り返しの先で成長しオトナになりエヴァのいない世界に進んでいくシンジの姿というのは、青春時代にエヴァンゲリオンに夢中になって何度も繰り返し見て育ってきた僕たちのような世代にとっては、自分自身に重なる物語だったのではないでしょうか。

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初めて『新世紀エヴァンゲリオン』を知ったのは、中学時代に友人から勧められた漫画(貞本エヴァ)からでした。
それから、TV シリーズ版・劇場版を見て魅力的なキャラクターや謎に包まれたストーリーに夢中になり、貞本エヴァのエピローグに胸のつかえが取れるような清々しい気持ちになり、そして新劇場版の再起動に歓喜してまた劇場に足を運んできました。
それこそ繰り返し何度も観ましたし、様々なコラボレーション企画のおかげもあって、日常生活のなかで見かけないことはないくらい、エヴァンゲリオンというのはずっとそこにあるような作品でした。

けど初めてエヴァンゲリオンに夢中になった少年時代のあの頃に比べれば、僕たちもすっかり大人になってしまいました。(夢中になる気持ちは今も変わりはないですが、それでも。)

そして、エヴァンゲリオンにも終劇が訪れます。
そこで僕たちが見たのは、外見だけでなく内面的にも成長してオトナになった登場人物たちが、エヴァンゲリオンのない世界へと進んでいく物語でした。
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』とは、成長してオトナになった僕たちが、作中のシンジたちと同じように、エヴァンゲリオンのない世界に進むための物語だったのかもしれません。
もしかしたら、四半世紀という長きに渡り制作に携わってきた人たちにとっても同じだったのかもしれませんね。

“ ありがとう、全てのエヴァンゲリオン ”

まさに、僕からも同じ言葉を送りたいと思わせてくれるフレーズです。

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そう考えると、最後に登場人物全てが救済されてこれまでと違った幸せを探し始める姿が描写されていたところには、庵野秀明総監督のキャラクター一人ひとりに対する愛情というものが感じられます。
(ビターエンドで終わらせることもできた訳ですから。)
ただ、全員が幸せになっているということが “ もうこの先に描くべきストーリーは存在しない ” ということを隠喩的に表していて、だからこそ僕はエヴァンゲリオンが終わってしまったことを強烈に実感したのでしょう。

これが『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を観終わった直後に感じていた “エヴァンゲリオンが本当に終わってしまった淋しさ” という感想の正体なのだと思います。

翌日からは平日だったのですが、このあたりの気持ちの整理がつくにつれてもう一度観に行きたいという気持ちが沸々と湧いてきまして、結局次の週末再び映画館に足を運びました。
(同じ映画を観に行くというのは、僕にしてはかなりめずらしいことでした。)

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こんな歳にもなって 少年時代の終わり なんて正直恥ずかしい気持ちはあるのですが、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を観た感想を率直に表現するならこの言葉しかないと思い、今回のタイトルにしました。
まあ、なかなかそう簡単に卒業するには払拭しきれないものもたくさんあるので、もしかしたらまた観に行っちゃうかもしれませんが^^;

ただ、全てのエヴァンゲリオンのファンにとって、まさに集大成とも言うべき良い作品だったと個人的には思います。

というわけで今回はこのへんにしておきたいと思います。
最後はやっぱりこのフレーズでしめましょう。

ありがとう、全てのエヴァンゲリオン


幕間

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