白髪が生えてくるメカニズムについてはまだちゃんとわかっていないらしい。最近通い始めたヘアサロンのスタイリストさんから聞いた話だ。これだけ科学が浸透した現代でもまだこんな身近に解き明かされていない謎が残されているなんて、とその時は感心した。
それにしても、ふと鏡の中の自分に白髪を見つけてしまった時それを抜かずにはいられないのはなぜだろう。抗いがたい衝動だ。もちろん身嗜みのためというのもあるけれど、それ以上に純粋にただ抜きたくてむずむずしてくるのだ。(多少の罪悪感はある)
ちなみに "白髪は抜くと増える" という話は本当なのかと思って調べてみたところ、どうやらやはり迷信らしい。ただし、白髪を抜くのもまた頭皮にダメージを与えるので推奨されないらしい。(根元でカットしましょうとのこと)
僕は小さい頃から白髪があった。父や叔父の顔を思い浮かべるにまあほぼ確実に遺伝だろう。僕の場合、特に前髪に出てくることが多い。そこらへんによくある証明写真機で顔写真を撮ったりすると、しばしば前髪に光の筋が走った写真がプリントアウトされて出てきたものだ。
これからどんどん白髪が増えていって、いつかは頭が真っ白になっちゃうんだろうなと思うと憂鬱になる。
でもそう考えてみると、じゃあ一体僕はいつ白髪を抜くのをやめるのだろうという新しい疑問が湧いてくる。いつか髪の毛が真っ白になるのに都度白髪を抜いていたら、原理的に頭がツルツルになってしまうじゃないか。それともどこかのタイミングでブワッと白髪が大量に発生して、抜くのを諦める時が来るのだろうか。
もしそんな時が来るのだとしたら、その時こそ僕は自分が後は死にゆくだけの人間になったのだと自覚できるのだろうか。