このたび、新たに Z7II というカメラをわが家へ迎え入れることとなった。いえーい、ぴーすぴーす。
あらためて調べてみると、Z7II が『新章』とか『新境地』とか仰々しく銘打ってリリースされたのが 2020 年の 12 月。当時 Z7 を愛用していた僕だけど、決して少なくない差額を捻出してまで必要なカメラじゃないような気がして、結局 II 型へのリプレースは見送ったのだった。あれから 3 年半の月日が流れ、巡り巡ってようやく Z7II がわが家にやって来た。あの日ニコンちゃんが指し示した新境地へと遂に足を踏み入れる時が来たのだ。さあ、新章の幕開けだ。俺たちの戦いはこれからだ!
で、つくづく僕は思うのだけど、カメラって横並びにしたスペックシートで数字のくらべっこをしているだけじゃわからないことが多すぎる。グリップを握った時の感覚、ボタンを押し込んだ時の感覚、ファインダーを覗いた時の感覚、カメラを構えた時の感覚、シャッターを切った時の感覚。写真という成果だけでなく、写真を撮るということ自体を楽しむために大事なことがたくさんあって、厄介なことにそれは自分の手でカメラを触ってみなくちゃわからない。当然個人差があるし、数値化するのも難しい。なんとも度し難い。
ここで白状すると、僕は Z8 が Z7 の代わりになってくれることを期待していた。な俺恥。ひょっとしたらニコンちゃんも Z6III のローンチイベントで 7 って数字を無かったことにしていたあたり、似たようなことを考えているのかもしれない。でも結局のところ、やっぱり Z8 は Z8 でしかなかった。もちろん Z8 は Z8 としてちゃんと気に入っているけどね。ただまあそんな反省が僕にはあって、それで今回の Nikon Creators 応援ヤケクソキャッシュバックサマーキャンペーン 2024 を自分への口実に、3 年半越しに Z7II の購入ボタンをクリックしたのだ。
とはいえ、3 年半という時間は決して短くない。FTZ っていう古墳型のマウントアダプターが円形に進化したり、Z と数字の間にあった謎の半角スペースが無くなったり、ファインダーまわりの造形がアハ体験みたく徐々に工場排気ダクトに変化していったりする。それでも、Z7II を手に取って構えてみた時には「これだよ、これ!」という気持ちがちゃんと湧いてきた。君は間違いなく Z7 の正統継承者だよ。すこしだけ厚みが増して、むしろちょうど手のなかにぴったり収まるようになった気がする。シャッターを切れば、今写真を収めたぞという感じの軽快で小気味よい音と感触が伝わってくる。本当によく手に馴染むカメラだ。
何より Z7II はビジュいのがとても偉い。僕は Z 初期のボディデザイン( Z7 、Z6 、Z50 )がすごく好きなんだけど、Z7II にはまだその多くの部分が残ってる。Z は D シリーズの装いを継承しつつ、肩がフラットな箱型になってミラーレスらしいデザインになった。とくに初期はその箱がマウントよりも小ぶりなのが特徴で、くわえて各所に傾斜と丸みがたくさん付いているところがトニカクカワイイ。かわいいカメラっていうのはそれだけでてぇてぇし推せる。カメラの性能のなかで最も重要だ。Z8 のぬりかべボディじゃ比べ物にならない。最近では Z6III も工場排気ダクトの向こう側へ行ってしまわれた。誠に遺憾である。(※個人の感想です)
結局のところ、僕みたいにただ好きで写真を撮ってる人にとっては、カメラはフィーリングがすごく大事だ。もちろんカメラに自分が合わせることも必要だけど、そのギャップが大きいほど写真を撮る楽しさに割くキャパシティが削がれていく。だからまずは自分の感性に馴染むカメラを使うこと。それが幸せになる一番の近道だと僕は思う。そうか、これが新境地か。
もし自分に合うカメラがわからないよって人は、まずはカメラ屋さんでも展示会でも何でもいいから、順番に一通りカメラを握って構えてシャッターを切ってみればいい。それだけでも自分の感性に合うカメラというのがどういうものか見えてくるはずだ。
僕はあまり人に特定のカメラをオススメしたりしないけど、「巷で良いとされるカメラを使うことで、カメラ選びに失敗する不安から解放されたい・優位な立場になりたい」みたいなカメラの選び方だけは絶対にオススメしない。そういう人ってきっと、勝手にメーカーの看板を背負ってスペックシート片手に SNS 上で罵り合うようになる気がするから。