小さかった頃の記憶なんてもうほとんど残っていないけど、修学旅行で〈東京タワー〉に登ったのはなんとなく憶えている。
僕は生まれも育ちも田舎だ。僕が住んでいた地域では、小学校の修学旅行といえば東京、中学校の修学旅行といえば京都と相場は決まっていた。
だからということでもないけど、小さい頃から都会への憧れはあった。
小学校の頃の僕は〈ミニ四駆〉に夢中になっていた。ブームの火付け役は、当時〈テレビ東京〉で放送していたテレビアニメ『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』だ。
ただ、僕の住んでいた地域では放送がなくて、テレビ東京が映る都会の子どもたちがとても羨ましかった。
僕の東京への憧れはそこから始まった気がする。
東京に住んでいれば、情報番組で紹介されているお店に行こうと思えばすぐに行ける。ニュース番組で急に天気予報がローカル局の放送に切り替わったりしない。バラエティ番組で石原良純さんが天気予報をだしにされる理由にも合点がいく。東京を中心に回っている物事から仲間はずれにされない。
そして僕はそのまま大人になって、東京の会社に就職した。
それが悪いこととも思っていないし、後悔しているわけでもない。今でも都会暮らしをちゃんと満喫している。
ただふと思ったのは、都会で生まれ育ち、お散歩の延長で東京タワーに登ったりできるわが子は、どういうことに憧れたりするんだろう、ということ。
田舎に生まれたからって必ずしも都会に憧れるわけじゃないから、ちょっと極端に考え過ぎているとは自分でも思う。
とはいえ、自分がもし都会で生まれ育っていたら、違うものに憧れて違った人生を歩んでいたのかもしれないと思ってしまう。
なにが良くてなにが悪いということでもないけど、自分の人生というのは、自分の力だけで100%決まるものじゃないのは確かだな、と思ったという話だ。