妻は焼き魚を食べるのがとてもうまい。 まるで漫画みたいに頭と骨と尾ひれだけが最後に残る。魚のタイプごとに攻略法を熟知していて、どんな相手でもつねに危なげなくクリアしていく。彼女のチャームポイントのひとつだ(星の数ほどある)。なにせ僕は焼き魚を相手にするのが苦手だ。 まずもって僕は不器用だ。どちらも生まれは田舎のほうだけど、接する海が違ったから食卓に並ぶ魚にも違いはあったかもしれない。育った家の "当たり前" に関する違いかもしれない。曰く、とくに意識することなく成長とともに修得したらしい。羨ましい。 師事の甲斐あって僕も多少なり上達してきている今日この頃。考えてみれば、人前で焼き魚に箸をつける ...