巨大な雲の群れが空を流れていくのを見ていた。 連日に倣ってこの日も気温は 30 ℃ を超えた。 まるでそれが当たり前のことのように...(溜息) ただ、いつもと違うのは風だ。 塊のような質量のある風がびゅうびゅう吹いている。 風が体の表層にこびりついた熱をまとめて運び去ってくれる。 ヒトの作る風にはこの重さや密度感が宿らない。 だからいつの世も外の風は気持ちがいい。 散歩日和とは、風が心地よく感じることだと僕は思う。 気まぐれに多摩川線に乗り、適当な駅でフカミドリの車両を降りる。 いつものように目的地があるわけじゃない。 ただ何となく多摩川を見に行こうと思って西に足を向けた。 層積雲が陽光を暫 ...