嗜む程度

 ここのところ《 激辛 》が密かにちょっとしたマイブームになっている。

 今年のはじめくらいに知人と激辛つけ麺チャレンジなど年甲斐もなくしてしまい、それからどうにも火がついてしまったらしく、辛いものを食べたい欲がぽつぽつと湧いてくるので、ちょくちょく辛い物を買ったりひとりで食べに行ったりしている。今日もカップ麺の「辛め辛辛魚」を食べた。そもそも激辛な辛辛魚の " 辛め " っていうセンスが ◎ だ。

 ただ、激辛が得意かというと実はそうでもない。嗜む程度だ。たしかに小さい頃からなんでも辛くするのは好きだったけど、かと言って人と比べて特段耐性があるわけじゃない。辛いものはちゃんと辛い。

 過去に一度あまりの辛さにギブアップしたこともある(幸い、お店じゃなかった)。あれはもう辛いとかじゃなくて、痛かった。食べ物が痛いのは嫌だ。辛味は味覚じゃなくて痛覚とよく聞くけど、どうやらあれは本当らしい。

 ちなみに激辛をよく食べるようになってアップデートされた知識だけど、辛いものを食べる時はあらかじめ牛乳を飲んでおくといい、というのもどうやら本当らしい。激辛がおいしいことと食道が痛くなることは僕のなかでは別の出来事なので、全力で楽しむなら牛乳はあったほうがいい。もしあるのなら、翌日の僕のおしりを守ってくれるおばあちゃんの知恵袋も教えてほしい。

 僕の実家では、ほうれん草のおひたしに緑の部分が見えなくなるくらい一味唐辛子を振りかけてから食べる。餃子は、たれの液面が一味唐辛子で覆われるまでふりかけてから、そこにダイブさせて食べる。どちらもすごくおいしいので、ぜひ試してみてください。(でも餃子についてはすし酢派に最近鞍替えした。)

 辛いものをちゃんと辛いと感じてそしておいしいと思えるのはいいことだ。絶対にそうだ。ちょっとやそっとじゃ辛く感じない人よりずっと辛さを楽しんでいるんだ、という謎の自負がある。同じ理由で怖いのは苦手だけどホラー映画もよく見る。怖いシーンで手で顔を覆っちゃったりするけど、きっと僕のほうが何倍も楽しんでいるはずだ。お酒についても以下同文。

 いま楽しめるものはいまのうちに楽しんでおいた方がいいなと、近頃よく思う。激辛もそのひとつだ。写真もそうだ。平均寿命と就業年数だけが延びて、元気で何かに打ち込める時間ってどんどん短くなっている気がする。元気じゃないのに長生きしてしまうって、はたして幸せなのだろうか。僕にはまだわからない。でも子どもが生まれてわかったこともたくさんあったし、これからきっとわかるようになるのだろう。

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 いのち短し、食べろよ激辛。撮れよ写真。走れ僕の筆。

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