レンズの筆遣いを形容する言葉に "立体感" というのがある。レビューサイトでたびたび使いまわされて手垢だらけの言葉だ。ほとんどの場合、肯定的な文脈で使われる。もちろん立体感だけがレンズの描写に求められるすべてじゃないけれど、よい描写とされるものの代名詞みたいなイメージがあると思う。 でもたしかにな、とも思う。おもしろいことにこの立体感というやつは、"最新型で高価なレンズほどもちあわせている性質" というわけでもないらしい。どれだけピント面がシャープでも、写真全体で見たら前後関係が希薄でごちゃごちゃした写りのレンズはたくさんある。 経験的にはレンズの画角や被写界深度、撮っている被写体、写真の大き ...